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クレプトマニアとは

 クレプトマニアとは、物を盗みたいという衝動を自分の中で制御することができず、不合理な窃盗を繰り返してしまう病気です。日本では、「窃盗症」と訳されています。 クレプトマニアに関しては文献も少ないのですが、DSM-5というアメリカの精神科医のための診断基準マニュアルによると、クレプトマニアであるかどうかは以下の基準で診断されます。

【診断基準】
    A.個人的に用いるためでもなく、またはその金銭的価値のためでもなく、物を盗もうとする衝動に抵抗できなくなることが繰り返されるか
  1. B.窃盗に及ぶ直前に緊張の高まりがあるか
  2. C.窃盗を犯すときに快感、満足感、または解放感が得られるか
  3. D.窃盗は、怒りまたは報復を表現するためのものでもなく、妄想または幻覚に反応したものでもないか
  4. E.窃盗は、行為障害、躁病エピソード、または反社会性パーソナリティ障害ではうまく説明されないか

ただし、ここで示されている基準は唯一絶対の基準ではありません。自らがクレプトマニアにあたるのかどうかは、医師による専門的な判断に委ねるべきです。
特に診断基準Aに関しては、窃盗の主たる動機がその物品の用途や経済的価値でなく衝動制御の問題であるという意味に許容範囲を広く理解すべきであるとする専門医の意見もあります。

常習的窃盗犯とクレプトマニアとの違い

 典型的には、窃盗の目的で区別されると考えられます。金銭的な余裕がないため生活目的で窃盗を繰り返す場合が前者、金銭的な余裕があるにも関わらず、窃盗そのものが目的で窃盗を繰り返す場合が後者、というように振り分けられます。ただし、両者の中間のようなグレーゾーンにあたる方も多いので、自らがクレプトマニアにあたるかの判断は、医師による専門的な判断に委ねるべきです。

摂食障害とクレプトマニア

 クレプトマニアを抱えている方の中には、摂食障害を併発している方も数多くいらっしゃいます。摂食障害も抱えている方の場合、普段の食事分の食材はきちんと購入し、過食用(食べ吐きする用)の食べ物だけを万引きするというパターンが典型的です。
 摂食障害を併発している方の場合には、過食衝動が万引きへの衝動に起因することが多いので、摂食障害とクレプトマニアの治療を同時並行的に行うことが、回復への近道になると考えます。

クレプトマニアと他の嗜癖の合併(クロス・アディクション)

 摂食障害が典型ですが、その他にもアルコール、ギャンブル、薬物、恋愛等とのクロス・アディクションを抱えている方も多くいらっしゃいます。クロス・アディクションを抱えている場合には、上記の摂食障害の例のように、合併している嗜癖による衝動が万引きの衝動の要因となっているパターンも多く見受けられます。

ため込みマインド

 摂食障害とのクロス・アディクションを抱えている方には、ため込みマインドを抱えている方も多く見受けられます。ため込みマインドを抱えている方は、自宅等に多くの食材をため込むことに安心し、逆にこれらが無くなることに焦りや恐怖心を覚えます(涸渇恐怖)。
 その結果、食材をためたいという欲求を充足するため、又は、食材をためたい、ただお金は減らしたくないという2つの欲求を同時に充足・解消するために、「食材を盗む」という衝動に駆られることとなります。

 当事務所では、クレプトマニア(窃盗症)の方の刑事弁護に精力的に取り組んでおります。詳しくは、刑事弁護方針をご覧下さい。

刑事弁護方針

 クレプトマニアが疑われる方には、厳しい刑罰ではなく、治療を伴う社会内処遇を受けさせることが重要です。当事務所ではそのための適切な刑事弁護活動を行っていきます。
 具体的には、社会内処遇を受けさせるためには身柄の解放が前提となりますので、クレプトマニアの被疑者・被告人の身柄が拘束されている場合には、身柄の解放に向けて警察官・検察官、裁判所に向けて働きかけていきます。
 また、前科や犯罪の態様等から起訴を免れない場合もありますが、その場合にも、裁判所に対して厳しい刑罰ではなく治療を伴う社会内処遇の必要性を訴え、執行猶予判決を受けるために全力を注ぎます。
 身柄が解放された後は、クレプトマニアの方に自助グループに参加してもらい、専門の治療施設に通院・入院してもらうこととなります。ここで重要なのは、本人が、自分がクレプトマニアであることを自覚し、それを克服しようという意志を持つことです。これが中々大変なのですが、「他人から言われているから渋々」といった態度では決して病状が回復することはできません。
 また、クレプトマニアは心の病気であるため、弁護士だけではなく、ご家族など近しい人からの支えも必要です。そのため、ご家族の方にもクレプトマニアという病気を理解してもらい、本人の回復のために寄り添って頂けるようご協力をお願いすることになります。
 また、日本ではクレプトマニア(窃盗症)の認知度は低く、クレプトマニア(窃盗症)を取り扱う病院や専門医もまだまだ足りておりませんが、私に刑事弁護をご依頼頂ければ、弁護の過程で病院や自助グループをご紹介することが可能です。なお、その際の紹介料等は不要ですが、病院側の都合(予約希望者多数・ベッドの空きがない等)により直ちに通院・入院が開始できない場合もありますことをご了承願います。

 このように、当事務所ではクレプトマニアの方の刑事弁護活動に精力的に取り組んでおります。刑事弁護をご希望の方は、是非当事務所までご相談ください。

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